秋といえば銀杏・・・料理屋では「銀杏切り」を多用するシーズンとなりました。
飾り切りの一種で、野菜などを銀杏の形に切って華やかに料理を演出します。
銀杏の形はどことなく鴨の脚に似ています・・・。
銀杏は中国原産なのですが、中国音で鴨脚ヤーチャオと発音されます。
この「ヤーチャオ」が転訛して銀杏になったと言われます。
種子はぎんなんとして食用にもされ、よく茶碗蒸しの中に入れられますよね。
材も緻密で美しく、加工しやすいと言われています。
言葉の転訛というのは面白いものですね。
以前の記事でも、「手前」から「てめぇ」への転訛の話をしましたが、
時の流れと共に変遷していく歴史は興味深いものです。
銀杏は別の漢字表記で、公孫樹とも書きますよね。
ぎんなんが地面に落ちて人や車に踏まれると、独特の臭いがします(笑)
あの臭いには秋の深まりを感じます・・・。
よく香りと記憶はつながっていると言います。ある香水の匂いで昔付き合っていた人の記憶が蘇るとか、
その頃の自分の状況が想い出される・・・なんてこと、ありますよね。
ちょっと本質は違いますが、ぎんなんの臭気にも同じようなものが感じられます。
座敷での宴会の際、お膳を並べて準備しますが、
お膳の脚は末広になっていて銀杏の葉形を思い起こします。
こういったお膳の脚を、銀杏脚いちょうあしと言います。