麦秋とは麦を収穫する季節を意味する言葉で、初夏の頃を指します。
稲作文化の日本では、秋の稲刈りの後に裏作として麦を育てる習慣がありました。
麦は大切な栄養源として、私たち日本人を育んできた歴史があります。
麦は秋に種まきをして、翌年の初夏に実ります。初夏に麦の穂が黄色く色づきます。
新緑の緑の中にあって、麦畑だけが黄色く染められる風景・・・そのコントラストは見事なものです。
麦秋という言葉は、新緑と麦畑の色の対比から生まれました。
麦秋の「秋」は季節の秋を意味するのではなく、「収穫する」という意味が込められています。
麦を収穫する・・・俳諧の世界では、麦秋は夏の季語となっています。
麦の穂を棒で打って脱穀する作業を麦打ちといいますが、
日本各地には麦打ち唄が幾つか残されています。
阿波麦打ち唄、飯能麦打ち唄、豊島麦打ち唄などがあります。
断腸の思いという言葉からネーミングされたダンチョネ節のことを、このブログでもご紹介し
ましたが、歴史に彩られた唄というのはいいものですよね。
昨今、健康ブームからか五穀米の売れ行きも好調なようです。
五穀とは、米・麦・粟・黍(きび)・豆のことを指しますが、古来日本人の主食として活躍し
てきたことは言うまでもありません。五穀豊穣を願って、農作業に精を出してこられた私たちの
ご先祖様に感謝しなければなりませんね。
麦秋という言葉には、連綿と受け継がれてきた我々の営みを感じます。
