放生会とは、魚や獣などの捕らえられた生類を、元の自然へ帰してやる仏教的な儀式のことです。
読み方が難しいですが、「ほうじょうえ」と読みます。
放生会は仏教寺などで、旧暦の8月15日に催されていました。

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放生会は伝統的な民族文化です。

放生会はのちに八幡信仰と結び付き、各地の八幡神社でも執り行われるようになります。
今では新暦の9月15日ごろに行うところもあり、京都の岩清水八幡宮の放生会が有名です。

捕らえた生き物を手放してあげる、現代社会でも度々見られる光景ですよね。
釣りを趣味にしておられる方も多いと思いますが、キャッチアンドリリースなどは現代版の
放生会ではないでしょうか。ルアーフィッシングの流行には、放生会の思想が息づいています。

傷ついた野生動物を保護して、適切な治療を施したのちに自然に帰してあげるという、テレビの
ドキュメンタリー番組もよく見ます。

仏教の思想では、私たちの命はあらゆるもののお陰で生かされていると考えます。
毎日食卓に上がる食べ物も、自然の恵みを頂いているわけです。
ご飯を食べるときには、そういった感謝の念を表すために「いただきます」と言っているわけです。
この「いただきます」の語源は、頭の上に戴く・・・恵にあふれた食べ物を頭の上に持ち上げて、
その下に自分の頭を下げる・・・そんな意味が込められているのです。

輪廻転生の思想が息づく仏教では、山や海に暮らす生き物は、もしかすると自分の父母かもしれないと
考えます。その命を救うことは功徳となり、不殺生の信仰心をまっとうすることになるのです。

釣り人のキャッチアンドリリースは、仏教コンシャスな善行なんだと思います。
京都の岩清水八幡宮の放生会、一度、観光がてらに訪れてみたいものですね。

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