蛸の美味しい季節は、産卵期前の初夏です。
麦わら蛸、梅雨蛸の呼び名があることからもうかがい知れます。
蛸を柔らかく煮る江戸煮という調理法をご存知でしょうか?

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志の島 忠

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蛸の主な生産地は瀬戸内海です。
瀬戸内海の中でも、明石産の蛸は有名ですね。国産の蛸は年々獲れなくなってきていて、
アフリカの沖合いで獲れたものを多く輸入しています。

蛸の江戸煮とは、ほうじ茶の煮出し汁に酒を加えて柔らかく煮ていく料理法です。

ほうじ茶を薄く煮出して、ほうじ茶と同量の酒を加え、よく水洗いして3センチほどに切った
蛸を入れて気長に煮ます。煮汁が少なくなってきたら、醤油と少量の酢を加えて煮上げます。

蛸を柔らかく煮るためのレシピはたくさんあります。
私も一度、挑戦してみました(笑)蛸は大根といっしょに煮ればいい、と多くの料理書に書かれています。そこで、江戸煮の調理法にアレンジを加えてみました。

ほうじ茶、酒、大根。この3つの食材を、蛸をやわらく煮るために使います。
仕上がりは上々です。少し赤みがかった大根もなかなか美味しかったです。
日本料理において、酒は重要な調味料のひとつです。
食材をやわらくするという点では、砂糖と同じような効能があります。
酒や砂糖に対して、みりんや醤油は食材をひきしめて固くします。そのため、みりんや醤油は
料理の最後の方で使うことが多いですよね。

蛸の産地は瀬戸内海なのに、どうして江戸煮なんて名前が付いているのでしょうか?

江戸前の蛸は生で食べるよりも茹でた方が美味しかったそうです。
東京の人は生ダコよりも茹でダコを好んで食べる・・・というのが理由のようです。
さらに江戸煮というのは古い調理法で、江戸時代の料理書にはよく出てきます。
しかしながら、今の料理書には江戸煮という名前がありません。
昔の料理書を紐解いて料理してみるのも面白いものです。梅雨の季節は是非一度、蛸の江戸煮に
チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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