「もどき」の言葉の意味を解説致します。

もどき(擬)とは、他の語に付いてその風采・風情に似たように作り立てられているものを
表す接尾語です。似て非なるもの、まがいものといったニュアンスでしょうか。

もどきを使った一番有名な言葉にがんもどきがあります。
精進料理のひとつでしたが、豆腐を食材に使っていることもあり、健康を意識する人の間では人気の
メニューですよね。がんもどきは漢字で「雁擬」と書きます。文字通り、雁の肉に味を似せた食品と
いう意味です。

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    精進料理ではご存知のように肉類を摂取することができません。
    そこで考え出されたのが、がんもどきだったというわけです。現代では豆腐を使いますが、昔の
    がんもどきは麩(ふ)を油で揚げていました。水分を切った豆腐をくずして、その中に細かく刻んだ
    ゴボウ、人参、銀杏、麻の実などを入れて油で揚げます。飛竜頭(ひりょうず)ともいいます。
    飛竜頭は「ひろうす」とも呼ばれます。
    この「ひろうす」はポルトガル語に由来しています。小麦粉と卵を混ぜて油で揚げた菓子のことを
    ポルトガル語でフィリョースといいます。このフィリョースが転訛してひろうすになりました。

    ポルトガル語は結構、遠く離れた国である日本にも浸透しています。
    超一流のサッカー選手ロナウジーニョの得意技であるエラシコもポルトガル語でしたね。
    サッカー用語にはポルトガル語が多いことに驚かされます。
    それにしても、ひろうすがポルトガル語に由来しているとは・・・こちらの方が驚きです(笑)

    もどきという言葉から、もどき食品のことを連想します。
    がんもどきももどき食品のひとつであると思いますが、世の中にはたくさんのコピー食品が
    出回っています。なかなか手に入れることが出来ない天然食材を使った食品に多いですね。
    例えば、カニカマ。
    蟹蒲鉾のことですが、原材料は蟹ではなくスケソウダラです。蟹は確かに高価な食材ですからね。

    ダイエット市場で人気を博している「こんにゃくゼリー」などもコピー食品です。
    こんにゃくを使っているわけではないようですが、食物繊維は入っています。
    もどき食品の面目躍如ですね。

    料理を作りながら時々思うのですが、海で獲れる魚の数が減ってきていると言われます。
    たくさん獲れることで知られる鰯の数でさえ減少傾向にあるようです。
    天然食材が減ってくれば、自ずと人間は昔の味を再現しようとコピー食品作りに励むのではないで
    しょうか。今ある食材でなんとか味を再現しようとする・・・料理人の腕が試されるときなのかも
    しれませんね。

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