暗黙知の言葉の意味を解説致します。

暗黙知とは勘や直観に基づく知識のことであり、形式知の反意語とされています。
例えば、ある商品の肌触りや匂いなどは暗黙知の領域に入ります。

暗黙知と形式知、この対比をネット上でよく目にします。

暗黙知の次元暗黙知の次元
マイケル ポランニー Michael Polanyi 高橋 勇夫

暗黙知の解剖―認知と社会のインターフェイス 状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加 コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 個人的知識―脱批判哲学をめざして 創発の暗黙知―マイケル・ポランニーその哲学と科学

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言葉で表現できたり、数式や図表で表すことのできる知識を形式知といいます。
かいつまんで言えば、デジタルな情報とでもいいましょうか・・・ロボット型検索エンジンのGoogleが
得意とする分野です。その一方で、なかなか言葉では言い表しにくい知識を暗黙知といいますが、
アナログ的な要素を多分に含んでいます。SNSのミクシィなどが得意とする分野ではないでしょうか。

なんとなく分かること、なんとなく出来ちゃうこと、言わずもがなの情報・・・これが暗黙知です。
自転車に乗ることなどは暗黙知の最たるものです。自転車に乗る方法を物理学的にきちんと言葉で
説明できる人はいないと思います。でも、大抵の人が出来ちゃいます。たとえ、きちんと数式や言葉で
説明できたとしても、それを人に伝えてその人がそれを体得することは至難の技です。
こういう暗黙知にカテゴライズされる知識は、分かりやすく伝えようとして形式知に置き換えても
あまり意味がないのです。無意味に近いものなのかもしれません。

Web2.0の流れに乗って、AISASの法則がマーケティングの世界に登場しました。
AISASの最後のSは情報共有のShareを表します。購買行動というActionを起こした後に、それぞれの
消費者はウェブ上に情報をフィードバックします。そう、つまりクチコミ情報の掲載です。

あそこのレストランのハンバーグは美味しかった・・・だけではなく、テーブルに運ばれてきただけで
胃袋を刺激する芳しい香りがして、歯ざわりも最高だった。などといった感じで、まるでそのレストランに
いるかのような臨場感が演出されます。あくまでもクチコミ情報というのは、個人的洞察に基づく
主観的情報に過ぎませんが、デジタルな情報というよりはアナログ情報に近いものがあると思います。

そのレストランのホームページを見に行っても、同じような文言が書かれているかもしれません。
レストランが宣伝文句として掲載する言葉には、どうしても形式知のニオイが感じられますが、
クチコミ情報に寄せられた投稿文章には暗黙知のニオイがします。
同じ言葉であったとしても、ユーザー参加型のWeb2.0の時代には、消費者の体験に基づいた情報に
キレ味の鋭い鮮度を感じます。

形式知で伝えられない情報を、クチコミなどの暗黙知を利用して補完する。
これはとても重要なことだと思います。

SNSのミクシィが株式を上場しました。
mixiはウェブ上の暗黙知をリードしている会社だと思います。
究極の暗黙知のモデルは”人間検索エンジン”だと言われています。あることについて知ろうとする時、
Googleの検索エンジンで調べられるのは形式知が主です。「あることについて詳しい人」を上から
順番にランキング形式で表示する・・・
正に人を探す検索エンジンの登場です。個人情報保護の観点からも問題が残っていると思われますが、
”人間検索エンジン”の開発も近未来のことなのかもしれません。

人を介さないGoogleに対して、人を介在させるYahoo!という図式も浮かんで参ります。
両社の社風の違いをひと言で表現すれば、人の介在ということになるのではないでしょうか。
機械が人間を支配するなどということはやはりあり得ない。これが私の持論です。
やはり最後は人間です。人のつながり、人の温もりです。

暗黙知と形式知を比べながら、そんなことを考えています・・・。

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