天高く馬肥ゆの語源由来を解説致します。

天高く馬肥ゆる秋・・・言わずと知れた秋を謳歌する慣用句です。
「天高く馬肥ゆ」という言葉の語源には、中国の歴史が深く関わっています。

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋・・・秋というシーズンには様々な形容が付けられます。

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1度は使ってみたい季節の言葉
小学館 1995-12

続 一度は使ってみたい季節の言葉 一億人の俳句入門

by G-Tools , 2007/01/19

夏のムッとするような空気から一転、カラッとした爽やかな空気が秋を彩ります。
特に日本は高温多湿の気候ですから、夏の空気は重たく感じられます。外を歩いていても、なんだか
自分の重心が低くなったような錯覚に陥ります。それと同時に、空も低く感じられるのでしょうね。

その一方で、秋というシーズンは空を突き抜けて、天が高くなったような爽やかさに満たされます。
日本では、丹波篠山地方あたりが最も秋が似合いそうですね。
丹波篠山といえば、松茸や栗などの秋の味覚で全国的に有名です。食欲の秋を代表する丹波篠山に
行ってみたいものです。

天高く馬肥ゆと中国との関係ですが・・・その昔、中国は匈奴(きょうど)と呼ばれる北方騎馬民族の
侵入に悩まされていました。馬を巧みに乗り回し、疾風のようにやって来ては村を荒らし回っていた
そうです。匈奴、恐るべし・・・!

彼らが中国に侵入してくる季節、それが秋だったわけです。
中国北方に広がる大草原の草を、春から夏にかけてたらふく食べた馬が、元気いっぱいになるのが
秋だったのです。充電たっぷりの馬を警戒する言葉だったんですね。

「漢書」(匈奴伝)の文章を引用させて頂きます。

匈奴伝秋に至る。馬肥え弓つよし。即ち塞に入る。

漢族を脅かし続けた北方の遊牧民族「匈奴」・・・匈奴はモンゴロイドに属するようで、
フンと同族と云われています。フンとは4世紀後半にヨーロッパに侵入して民族大移動の原因を作った
民族として知られています。そんなフン族と人種的には同じなんですね。

天高く馬肥ゆる秋を迎えますが、世界の歴史に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。

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