講演会場は大阪梅田のホテル阪急インターナショナル。
楽天トラベルが催すフォーラムの中で、基調講演ゲストとして樋口裕一氏がお話をされました。
樋口裕一氏は、PHP新書発刊「頭がいい人、悪い人の話し方」のベストセラー作家として有名です。
日本語や言葉の大家として注目を集めておられます。言葉にまつわるブログを執筆している身として、樋口裕一氏の講座には興味がありました。
樋口裕一氏は大学入試小論文の指導によって、「小論文の神様」と称された経歴をお持ちでいらっしゃいます。
樋口裕一氏の講演の中で一番印象に残ったのは、
”言葉は現実を作る”という胸に突き刺さるようなフレーズでした。
書かれて初めて現実になる。
たとえ実際にあった事でも、書かれなければ現実にあったこととしては残らない。
歴史の文献なんかもそうですが、書かれて初めて現実になるのです。
現実が先にあって、それを表現する言葉がある。
そう考えるのが普通ではないでしょうか。
しかし、もう少し掘り下げて考えてみるならば、言葉が先にあってそれに伴う現実が作られていく。
逆説的ではありますが、一面の真理を表しているのではないでしょうか。
言葉は現実を作る。
水面からふっと顔を覗かせるように、水面下の真実が私たちの目の前に現れます。
言葉は実に深いです。
たわいもない日常生活の中で、様々な思いが私たちの脳裏を横切っては過ぎ去っていきます。
そのいちいち全てを書き留めることは不可能です。
言葉を操りながら文章にするのは、その中のわずか一部分に過ぎません。
言葉として吐き出された事柄は、現実として残ります。
頭の中をかすめた、とりとめもない多くの事柄は、現実にそう思ったにも関わらず、
現実として残っていかないのです。
書かれて初めて現実になる。
書くとは切り捨てることである、とは樋口裕一氏の有名な言葉です。
余計なぜい肉をそぎ落として、事実に強弱を付け、要点にだけ光を当てる。
そうして書かれた選りすぐりの内容だけが現実となっていく・・・
言葉の神髄に触れたような一日でした。
<日本語の資格>
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